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eラーニングの活用

ここでも度々話題にしている「すらら」教材の話です。 「 ICT 教育ニュース」 7 月 31 日のニュースに次の話題が紹介されていました。 「すららネットは 30 日、同社の海外小学生向け算数 e- ラーニング「 Surala Ninja! 」の海外展開事業が、経済産業省の「未来の教室」海外展開支援等事業の実証事業に採択されたと発表した。   「 Surala Ninja! 」は、対話式 ICT 教材「すらら」の海外版として、小学生向けに開発された、アニメーションを通じて加減乗除の四則計算を楽しく学べる e ラーニングシステム。 (以下省略)」 海外、特にこれから発展していこうという国にとっては、教育は死活問題です。教育がうまくいかなければ、国の発展は望めません。そのようなところでeラーニングとして活用されるには、この教材はうってつけでしょう。そのような教材を個別指導塾よりも安く受けられるのが当塾「学習空間ココルーム」です。 関心のある保護者の方は、今すぐご連絡ください。担当者より丁寧に説明させていただきます。

「学ぶことは面白いか ?」 理数編

「数学や理科のない 世界 に行きたい」と思っている人もいるでしょう。今回は「数学」や「理科」の面白さについて考えてみます。 (サイエンス・ナビゲーター 桜井  進さんの『雪月花の数学』 ( 祥伝社 ) を参考にしました 。) 1 「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場する黄金比の数式       ほとんどの人が知っている「ミロのヴィー ナス」 像の「頭の先からへそまで」と「へそからつま先」までの長さは「5対8」です。つまり、「1対1.6」。 この比率を黄金比と言います。 映画「ダ・ヴィンチ・コード」の中で、主人公ロバート・ラングドン教授が「1.618」という数字を板書して、学生たちに黄金比を説明するシーンを覚えていますか。 「そう!」ラングドンは言った。「いい質問だ」スライドをもう一枚映す。黄ばんだ羊皮紙に、レオナルド・ダ・ヴィンチによる名高い男性裸体画が描かれている。・・・ 「ダ・ヴィンチは人体の神聖な構造をだれよりもよく理解していた。実際に死体を掘り出して、骨格を正確に計測したこともある。人体を形作るさまざまな部分の関係がつねに黄金比を示すことを、はじめて実証した人間なんだよ。」教室内の全員が半信半疑の面持ちを見せた。 ( 『ダ・ヴィンチ・コード』越前敏弥・訳 ) このとき、ラングドン教授は黄金比を導き出す一つの数列を紹介するのです。 それが、「 フィボナッチ数列」と呼ばれる数列です。 「1」 から始めて、次に「1」を置く。 「1」 と「1」をたして、「2」。 「1」 と「2」をたして、「3」。 「2」 と「3」で「5」。 「3」 と「5」で「8」。・・・・ と、隣り合う 2 項の和が次の項の値と等しくなる数列が「フィボナッチ数列」です。 1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144 ・・・ 面白いのはここからです。 この数字を半径とする円の四分の一の円を順につなげていくと、どのような形になるのでしょうか。 実はらせんになります。  自然界には「らせん」の形をしたものがあふれています。  たとえば、アサガオのつる、 DNA 、銀河系・・・・など、実にいろいろなところに 「らせん」が存在するのです。 古代から人々

効果的な勉強法とは

脳科学で有名になった茂木健一郎さんという人がいます。彼に言わせると「文章能力と国語力は勉強や仕事の基本、鍛えるなら読書がいい。」とその著書「脳を活かす勉強法」で述べています。「朝の読書」を毎日やっている学校も多いと思いますが、この時間を利用して読書をすることの意味がここにもあると言えます。  特に、茂木さんが言うように「少し難しい内容の本を読むことが脳に快楽を与える」を実践してみてはどうでしょう。知らない漢字でも前後の内容から類推できることが多いので、それもまた勉強です。  それともう一つのおすすめ。  それは視覚・聴覚などの感覚器官や自分が行動する動機などを含めて「モダリティ」と呼ぶそうですが、そのモダリティが記憶の定着率を高めるということです。つまり、ただ教科書や参考書をながめて勉強した気分になっても非常に記憶の定着はよくないということです。それよりも声に出して読んでみたり、ノートに書き写してみたりするなどの作業が効果的ということになります。

「すらら」すごい人気ですね。これを知らずして・・・

私が毎日チェックするニュースサイトに「ICT教育ニュース」があります。 そこに、こんな記事がありましたので、紹介します。 2020年7月27日 AI× アダプティブラーニング「すらら」、桐蔭学園が小学校でも導入 すららネットは 22 日、同社の AI× アダプティブラーニング「すらら」が、桐蔭学園小学校(横浜市)に、 7 月から導入されたと発表した。 同学園では、すでに中学校で「すらら」学習を進めており、これで小・中学校の全児童・生徒が「すらら」学習に取り組むことになる。 同小の今回の「すらら」導入は、これまで同校が推進してきたアクティブラーニング型授業、探究学習の学習効果を一層高め、自立学習を推進していくのが目的。 同小では、「ブレンド型学習」という位置づけで、教員による導入と振り返り、「すらら」による予習(知識のインプット)とアセスメントをブレンドして行うことで、授業進度のスピードアップを実現するとともに学力向上と両立させる。 「ブレンド型学習」では、教員による単元の導入に続き、「すらら」で課題の確認と配信を行い、児童に予習として「すらら」学習単元を配信する。 授業は、アクティブラーニングを中心に実施。その後、「すらら」のテスト機能を利用して、児童一人ひとりの未定着部分を個別の宿題として配信。 いずれの場面でも、教員管理画面で教員が児童の学習状況を確認し、サポートしながら、個別最適化された学習を推進。学習効率向上を実現すると同時に、協働学習やアクティブラーニングの割合を増やしていく予定。 また、今回の「すらら」導入をきっかけに、同社と同校は「ブレンド学習」に関する共同研究を行い、 2021 年 2 月に共同研究発表会を実施する。 「すらら」は、小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会 5 教科の学習を、教師役のアニメキャラクターと一緒に、一人ひとりの理解度に合わせて進めることができるアダプティブな e ラーニング教材。 ここのところ、「すらら」教材が全国の公立、私立の小中学校で採用される動きが加速しています。当塾「学修空間ココルーム」でも、この「すらら」教材を採用しています。 興味のある方は、ぜひ体験に来てください。一人ではなかなか勉強に取り組めない小中学生のみなさん、その保護者のみなさん、

「規制緩和」「市場原理主義」が教育にもたらしたもの

「規制緩和」という言葉を耳にして久しいが、いつの間にか「市場原理主義」が当たり前になり、格差社会という言葉も定着してしまいました。  教育の世界においても、「規制緩和」「市場原理主義」の例外ではありません。  小中学校の公立学校教職員給与の国庫負担が国の 1/2 負担が 1/3 になってから、非常勤職員の数が急増しました。様々な職種の人間が学校という組織の中に入ってきたことを歓迎する一方で、この非常勤職員の増加は新たな問題です。  また、目を高等教育に転じてみると、基礎科学研究が凋落している様子がわかります。 6 月に公表された科学技術白書によると、次のように述べられています。 「我が国においては、論文数の減少や、論文の質の高さを示す指標の一つである被引用数 Top10 %補正論文数の国際シェアの減少など、研究力に関する国際的地位の低下の傾向が伺える。 2017 年3月に Nature 誌においても、科学論文の国際シェアの低下など、日本の科学研究が近年失速している旨の指摘が掲載された。」 さすがの白書も近年の研究力低下を認めざるを得ませんでした。 科学技術がこの国にとってどれだけ大切かは改めて言うまでもありません。その分野において凋落が認められるというのは看過できないことです。その凋落の原因は何にあるのでしょうか。 サンデー毎日 7 月 8 日号 (2018 年 ) をお読みになった方はいらっしゃいますか。 その中の内田樹氏の書いたものを見るとその謎が解けます。 それは、国立大学の「独立行政法人化」です。少し引用します。 「国立大学の独立行政法人化は 21 世紀の初めごろから日本社会を覆い尽くした怒涛のような「株式会社化」趨勢の中で決定された。「株式会社化」というのは、「すべての社会制度の中で株式会社が最も効率的な組織であるので、あらゆる社会制度は株式会社に準拠した制度改革されねばならない」というどこから出てきたか知れない怪しげな「信憑」のことである。」 このような株式会社化された大学では学長や理事長というトップに全権が集約されるようになり、教授会は諮問機関に格下げされました。大学の自治や学問の自由などと言っていた時代が遠い昔のようです。当然のように、研究も成果がすぐに出るような研究ばかりが

様々な世界とつながる教室

今回の学習指導要領の改訂で「見方・考え方」が各教科共通の視点としてその中に整理されました。 その解説によると、「見方」とは、「対象を捉える視点」であり、「考え方」とは、「対象へ迫るアプローチの仕方、方法」です。また、その「見方・考え方」はそれぞれ、教科固有のものがあるという前提で考えられています。この「見方・考え方」を強調することは、私なりに考えてみると、その教科の本質的な面白さ、楽しさを追究しようというねらいが指導のポイントとして強調されているのだと思います。  そこで、具体的に理科で考えてみましょう。 小学校理科の「振り子の運動」について取り上げることにします。 「振り子の運動」については、小学校学習指導要領・理科解説では次のように記載されています。 1 第5学年の目標 (1) 物質・エネルギー ① 物の溶け方,振り子の運動,電流がつくる磁力についての理解を図り,観察,実験などに 関する基本的な技能を身に付けるようにする。 ② 物の溶け方,振り子の運動,電流がつくる磁力について追究する中で,主に予想や仮説を基に,解決の方法を発想する力を養う。 ③ 物の溶け方,振り子の運動,電流がつくる磁力について追究する中で,主体的に問題解決しようとする態度を養う。 ( 以下省略 ) さらに、学習指導要領解説では次のような説明が記載されています。 ここでの指導に当たっては,振り子の長さや振れ幅を一定にしておもりの重さを変えるなど,変える条件と変えない条件を制御しながら実験を行うことによって,実験の結果を適切に処理し,考察することができるようにする。 その際,振れ幅が極端に大きくならないように適切な振れ幅で実験を行うようにする。 ( 下線は筆者が付け加えたもの ) また,振り子の長さは糸などをつるした位置からおもりの重心までであることに留意する。さらに,伸びの少ない糸などを用いることや,おもりの数を増やして実験するときに,おもりを下につなげてつるすと振り子の長さも変わってしまうことがあること,測定中の振れ幅の減少ができるだけ小さい振り子を使用することなどに留意する必要がある。 他教科等との関連として,実験を複数回行い,その結果を処理する際には,算数科の学習

読書会は江戸時代にもあった

 「批判的な読み」の大切さはいろいろな場面で指摘されているわけですが、それを実践する場の一つとして「ブッククラブ」があります。人は所詮自分の視点でものを見たり、書いたりするわけですから、偏りがあります。そのバランスを取るための方法の一つが、「ブッククラブ」のような場で、自分以外の多様な意見に接することです。  「『学び』で組織は成長する」 ( 光文社新書 2006) にも紹介されていますが、「ブッククラブ」 ( 読書クラブ ) は組織内での研修手法として効果的なものです。忙しい職場でも、今はオンラインでやり取りできますし、離れたところに住むメンバーでもコメントのやり取りは SNS やメールでできるわけですから、非常に便利になったものです。 最近『江戸の読書会』 ( 前田勉・平凡社ライブラリー 2018) を読んだのですが、そのタイトルにもあるように江戸時代に「読書会」が盛んにおこなわれていたことを知りました。 同書の「はじめに」には次のように書かれています。 明治の自由民権運動の時代は「学習熱の時代」であった、と評したのは、民衆思想史のパイオニア色川大吉である。 1880 年代、現在、名前が判明しているだけでも、 2000 社を超えるという全国各地の民権結社では、演説会や討論会が催され、国会開設の政治的な活動をするばかりか、定期的な読書会も開かれ、政治・法律・経済などの西欧近代思想の翻訳書を読み合い、議論を闘わせた。この時代の民権結社のほとんどは「学習結社的な性格」を備えていたのである ( 色川大吉『自由民権』岩波新書 1981 年 ) 。 2000 社を超える民権結社があったことも驚きですが、著者の前田さんはさらに続けてこう書いています。 討論会などは、はたして本当に、明治になってから始まったものなのであろうか。 ここで、示唆を与えるのは、蛙鳴群 ( 現在の岡山県にあった結社 ) の午前中に設定されていた「法律書会読」をするという読書会である。この「会読」は、定期的に集まって、複数の参加者があらかじめ決めておいた一冊のテキストを、討論しながら読み合う共同読書の方法であって、江戸時代、全国各地の藩校や私塾などで広く行われていた、ごく一般的なものだった。 「会読」 ( かいどく ) が共同読書であり、あらかじめ決

文部省著作教科書「民主主義」

 本の帯は、書店で平積みになっている本を PR する点で重要です。 ある日、仕事帰りに書店に立ち寄ると「読み終えて、天を仰いで嘆息した」と帯に書かれている本を見つけました。この PR 文の書き手は内田樹さんのようです。そこで、手に取って中身を読むことにしました。本のタイトルは「民主主義」 ( 著作・文部省 ) 角川ソフィア文庫 (2018) です。この本は、中高生に「民主主義」を教えるために書かれた教科書とのことです。  もちろん当時はまだ GHQ が日本にいた時代に書かれたので、 GHQ の検閲もあり、そうした占領軍への配慮もしながら、民主主義について解説したわけです。 読み進めると面白い発見が次々と出てくるではありませんか。 第 14 章「民主主義の学び方」の第二節「学校教育の刷新」には次のようなくだりがありました。 これまでの日本の教育は、一口でいえば、「上から教え込む」教育であり、「詰め込み教育」であった。先生が教壇から生徒に授業をする。生徒はそれを一生けんめいで暗記して試験を受ける。生徒の立場は概して受け身であって、自分では真理を学びとるという態度にならない。生徒が学校で勉強するのは、よい点を取るためであり、よい成績で卒業するためであって、ほんとうに学問を自分のためにするのではなかった。よい成績で卒業するのは、その方が就職につごうがよいからであり、大学で学ぼうというのも、主としてそれが立身出世のために便利だからであった。 これが出版されたのは昭和 23 年から 24 年にかけてのことでした。なんとこの 70 年間、わが国の学校教育はここで指摘された状態がそのまま続いてきたわけです。もちろん、各地で「刷新」と呼ぶにふさわしい実践があったかも知れませんが、大勢はここで指摘されたことが紛れもなく続いてきたと言えるでしょう。 また、次のような一文もあります。 がんらい、そのときどきの政策が教育を支配することは、大きなまちがいのもとである。 今の文科省の職員と中教審のメンバーに読ませたいものですね。小学校英語、プログラミング教育、道徳の教科化と、どれをとっても「そのときどきの政策」が教育に介入してきたものばかりです。また、道徳に関しては、次のような文言もありました。  ことに、政府が、教育機関を

世界は至る所でつながっている

今回はまず物理学の話から入ります。 物理は今日では素粒子物理や核物理など、一般の人々に分かりにくい高度な専門領域が中心になっています。この素粒子物理学は湯川秀樹や朝永振一郎といったノーベル賞受賞者が出たことで、日本の得意分野の一つと言えるかもしれません。この2人の先生にあたる物理学者がいます。仁科芳雄という人で、この人がいなければおそらく湯川さんも朝永さんもノーベル賞をもらうような研究はできなかったでしょう。  しかし、一般には仁科芳雄の名前はそれほど知られていません。太平洋戦争中の日本の最高研究機関は理化学研究所、通称「理研」でしたが、仁科さんもその一員でした。戦後、理研の所長に仁科さんが就任するのですが、その一番の仕事は理研の存続でした。 東奔西走するなかで、仁科さんは「理研」を「科研」というペニシリン製造会社へ変えることにより、理研の存続に成功しました。しかし、約 300 人の研究員や従業員に給与を支払うための資金繰りに走り回るうちに、病をえて、昭和 26 年 (1951 年 ) に亡くなってしまいます。 理研は今日、国立研究開発法人として存続していますが、遺伝子工学や新元素の発見など創造的な科学研究を続けています。新元素発見で、その名称が何になるか注目していましたが、「ニホニウム」 (nihonium) に決まりました。個人的には「仁科芳雄」の名前を入れて欲しかったと少し残念に思いました。  さて、先ほどの湯川秀樹の研究仲間の一人に武谷三男という物理学者がいました。彼は研究を進めていくための方法論として独自の「三段階論」というものを提唱しました。 それは次のような考え方です。 自然自体に階層的な構造があるために、人間の認識も次の 3 つの段階を経ていくというものです。 ①現象の観察や実験結果を記述して知識を集める「現象論的段階」 ②ある現象について、それがなぜ起こるのかを説明する実体的な構造を知り、このモデルにより法則性を得るという実体論的段階」 ③さらに普遍的な実体とそれらの間の相互作用の法則の認識である「本質論的段階」 武谷さんは古典力学を再度学ぶ中で、ケプラーやガリレオ、ニュートンが果たした役割を見事にこの 3 段階論で説明してみせました。 ( 興味のある方はぜひ武谷三男『物理学入門』ちく

語彙の新しい学び方

各分野の学びのなかで、「語彙」を学ぶことは基本の一つです。『教科書をハックする』 ( 新評論 /2020) にも、いかに子どもたちに語彙学習を楽しく進めさせるかという章があります。 ( 第 3 章・ 101 ページから 138 ページ ) そのなかのある節「よい教科書の語彙の使い方」には、次のような一節があります。  もし、あなたが使っている教科書が複雑すぎて、あなたでさえ二回読まなければ分からないような定義を載せていたり、新しく登場する難しい言葉に説明がなかったり、「たとえ」が提供されていなかったりする場合は、可能ならば教科書を換えるか、補足的な資料をもとにして授業を展開することをおすすめします。理想的と言えるものは、以下のような方法で新出語彙にアプローチしている教科書です。 ・語彙を予習し、生徒の予備知識とつなげている。 ・生徒になじみやすく語彙を定義している。 ・語彙がどのように使われるかという例を載せている。 ・章のなかで、違った形で語彙を使っている例を数回以上載せている。 実際問題として、教科書を変更することはできないと思いますので、上記の例にあるような形で補足資料を使いながら、子どもたちが語彙を学ぶことをサポートしたいものです。この語彙の定着には、ある程度のドリルが必要な場合もあると思いますが、そこは今まで以上に ICT の力を借りてもいいと思います。これまでの紙ベースの教科書と異なり、ディジタル教科書では、重要な語彙や新出語彙について、子どもたちの理解を助ける機能が付いているので、こうした機能の利用も進めたいものです。 さきほどの『教科書をハックする』には、次のような一文もあります。 (116 ページ ) 予備知識は、生徒が内容に関連した新たな情報をどれだけ学べるかを示す重要な指標となります。同様に、生徒たちが語彙に関連した予備知識と結び付けられるとき、彼らはその言葉の意味をよく理解し、より容易に文章を把握することができます。 この後に、具体的な指導方法として「語彙をごちゃ混ぜにする」「質問カード」「語彙知識を精巧化するためのモデル」などが紹介されています。興味のある方はぜひこの本をお読みください。 話は変わりますが、 「 Monoxer 」というアプリがあります。「モノグサ」

センスオブワンダー

2019 年 4 月 10 日「ブラックホールの写真撮影に」というニュースが話題になりました。 100 年以上前に発表されたアインシュタインの一般相対性理論からその存在が予言されていたのですが、それが実証されたということです。 40 年以上前に私が大学で相対論の講義を聞いていた頃は、一般相対性理論については少し懐疑的なところもありました。 それが実証されたということも驚きですが、今回の観測に当たって「 VLBI 」 ( 超長基線電波干渉計 ) のしくみというのも素晴らしいと思います。一つの電波望遠鏡では小さいので、その口径を大きくするために世界 6 か所にある電波望遠鏡を仮想的につないで、一つの巨大望遠鏡に仕立て上げて観測をしたわけです。言わば、地球を一つの仮想望遠鏡と見立てたわけで、この発想が素晴らしいのです。無いない尽くしの学校現場ではありますが、制約の中で工夫する、イノベーターの発想が求められると思います。 さきほど、アインシュタインの予言の話をしましたが、この一般相対性理論の中心である「アインシュタイン方程式」も実に数学的に美しいと思います。興味のある方は、ぜひ『世にも不思議で美しい「相対性理論」』 ( 佐藤勝彦・実務教育出版 2017) を手に取ってみてください。また、映画好きな方は、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』をご覧ください。主人公の家族愛もさることながら、「特異点」「事象の地平面」などが視覚的にわかりやすく描かれています。 理科の学習において、その原理やしくみがよく理解できないのに、問題の答えがわかればよいのだと言わんばかりに、公式や法則を丸暗記させて、指導するやり方が受験対策などで盛んに用いられていると思いますが、それでは理科における探究の面白さを台無しにするだけです。理科の醍醐味は探究の過程にあるのですから、肝心なところを省略して自然の美しさやシステムの精緻さなどを実感することは不可能です。この問題解決のプロセスを大切にすることは、理科に限らず多くの教科においても通じるものがあります。 以前、大学で幼稚園教諭免許取得に必要な「保育方法」について教えていたのですが、幼稚園の先生方への指導資料集の中に、「カメがミミズを食べる」場面に子どもたちが遭遇するというものがありました。それを目撃した子

異種混合の発想から生み出されるもの

 梶谷真司さんという哲学者の書いた「考えるとはどういうことか」 (2018 幻冬舎新書 ) には、哲学対話がわかりやすく解説されています。その 52 ページに次のような文章があります。  自由に考えるためには「何を言ってもいい」ということが必要なのだが、この原則からすると、学校は正反対の場所である。そもそも学校では言うべきことが決まっている。それは「正しいこと」「よいこと」「先生の意に沿うこと」である ( 正確に言えば、「正しいとされていること」「よいとされていること」「先生の意に沿うとされていること」である ) 。  今さら言うことでもありませんが、日本の多くの学校は基本的に教師の言うことに従う従順さ ( コンプライアンス ) を子どもたちに求める場所となっています。それに反発する子は「悪い子」であり、時には「問題児」「問題生徒」とレッテルを貼られることになります。さらに今ではそれを補強するかのように「道徳」を教科にして、社会秩序からはみ出さない子どもを育てるシステムが出来上がりました。このことは、最終的に上司の言うことを素直に聞く会社人間の養成に行き着くのでしょうか。  アジア・太平洋戦争後、欧米に追いつき追い越せの時代は、この「従順さ」が必要不可欠のものだったと言えるでしょう。しかし、気づけば経済では世界のトップグループに入り、もはや自分たちの進む道は自分たちで切り開かねばならない時代になりました。  いつまでも「従順さ」や「右へ倣え」で他と同じことをやっていればいいという時代ではなくなりました。経済面でのわが国の凋落傾向も徐々に露わになりつつあります。また、教育面での遅れも深刻化しつつあります。  このような時代背景のもと、今後求められる教育の姿が様々なところで語られていますが、「学校をよくしていくアプローチ」として次のようなものがあります。 ・教師が学び続けるための仕組みや方法です。「学び手中心ないし主体の学校や授業づくり」と言ったときに欠かせないのは、楽しく学び続ける存在としての教師だからです。これまでの研修・研究の枠から解放されることが求められています!   私もこの問題の突破口の一つはここにあると思います。 いくらいいことを言っても、授業が変わらなければ次の時代を担う子どもの育成を実現するこ

歴史は面白い

今年の NHK 大河ドラマの主人公は「明智光秀」ですが、当然織田信長も登場してきます。  このあたりのことを中学校の歴史教科書で確認してみましょう。  「信長は、敵対する戦国大名を破り、全国統一をおし進めていきました。 1575 年、信長は長篠 ( 愛知県 ) で甲斐 ( 山梨県 ) ・信濃 ( 長野県 ) などを支配していた武田勝頼と戦ったとき、武田軍の突進を防ぐ柵を設け、大量の鉄砲を効果的に使って勝利しました。 ( 長篠の戦い ) これ以降、鉄砲が戦いの主要な武器となりました。」 ( 帝国書院『中学生の歴史』 94 ページ )  よく言われるように、それまでの戦のやり方が、鉄砲の登場で変わってきたことがわかります。それでは、その鉄砲について、どのような記述があるか見てみると、つぎのようになります。 「 1543 年、種子島 ( 鹿児島県 ) に漂着した倭寇の船に乗っていたポルトガル人によって、日本に鉄砲が伝わりました。」  これだと偶然、ポルトガル人がやってきて、鉄砲の技術を伝えたようになりますが、当時のヨーロッパでの兵器産業の様子を考えなくてはいけないようです。このあたりの話は『対決 !  日本史』 ( 安部龍太郎・佐藤優 / 潮出版社 2020) が参考になります。 安部「ヨーロッパでは、鉄砲製造の技術、大砲製造の技術はものすごく進んでいました。ポルトガルのリスボンにある軍事博物館に行ったことがあるのですが、 1540 年代の段階では口径 40 センチくらいの大砲が造られているのです。 佐藤「織田信長が生まれたのが 1534 年ですから、そのちょっとあとの時期ですね。」 ちょうど戦国時代を迎えていた日本の状況を知って、これは武器の市場として大量に売れると、ポルトガルは考えたのではないでしょうか。しかも、火薬の原料の一つである「硫黄」がマカオや東南アジアに駐留していたポルトガル人のところには不足していたそうです。その足りない硫黄を日本で供給できることがわかり、取引成立が成立したようです。 こう見てくると、実は日本史のこの部分だけ取り出してみても、世界の動きと決して無関係ではないということです。多角的に見ることで、当時の物資の流通や人の動きがわかるわけです。 また、教科書の記述では次は「キリスト教の

受験のための基礎固め

 受験がそろそろ気になり始めた中学 3 年生のみなさん、受験に向けてどうしようかと考え始めているのではないでしょうか。そのようなときにどうしても過去問などに手を出してしまいがちですが、ここはぐっとこらえて、まずは基礎固めからが大切です。何事も土台が大切で、しっかりと基礎ができていないと、その上にいくら積み上げても、ちょっとした揺れで壊れてしまいます。ということで、ぜひ 9 月あたりまでは、基礎・基本をしっかりと身に付けるようにしましょう。何が基礎・基本かわからないという人はぜひ、当塾へおいでください。丁寧にサポートいたします。

知識は効率よく詰め込むべし

学習指導要領がわが国での小・中・高校の学びの範囲を規定していますが、直近では、平成 29 年に新しいものが告示されました。これによって、今後 10 年くらいのわが国の小・中・高校の学びのスタンダードになるわけです。 その学習指導要領の改訂の中で、特に強調されているのが、「主体的・対話的で深い学び」です。前段の「主体的・対話的」はさておき、後半の「深い学び」はいったいどんなものか、学校の先生方も具体的にイメージがつかめている人はせいぜい 1 割程度でしょう。しばらく前は「教えない授業がいい授業」のようなとんでもない誤解が結構まじめに語られていました。 中には、大学の教員で教育学専攻の人が「教えない授業」をやっていましたが、こういう人に教わった学生はどういう教員になるのでしょうか。それはさておき、「深い学び」の前には、「知識」を覚える、習得するということが当たり前のように求められます。ここのところを ICT でやればいいのです。何回か前に紹介した「モノグサ」も、覚えたい英単語、歴史の年号など、習得にはうってつけのツールなのです。 「深い学び」はある程度の基礎・基本の知識が習得できたら、可能になるものです。「深い学び」というのは、ものごとのつながりがわかったり、関係性が見出せたり、比較できた結果わかることなど、知識が前提の「深い学び」なのです。ここのところをしっかりやらないと、いくらアクティブ・ラーニングだと言ってみたところで、結果的には愚者の時間つぶしになってしまうわけです。  話し合いをしたから、アクティブなどと間違っても思わないでください。一人でじっくりと考え込むことだって、脳が活性化しているわけですから、立派なアクティブ・ラーニングです。日本の教育はどうも「流行」ばかり追いかけすぎるきらいがあります。 当塾が採用している「すらら」は AI の力を借りて、効率よく学ぶことのできるシステムです。どうも学校の勉強がよくわからない、テストでもう少しいい点を取りたい、学校にあまり行きたくないけど勉強はしたいという小・中学生のみなさん、ぜひ「学習空間ココルーム」に気軽に来てみて、どんな学びができるのか自分の目で確かめてください。

夏期講習実施に向けて準備中です

ただ今、夏期講習に向けて準備中です。 オンラインによる講習会になりますので、みなさん自宅で受けられます。