大学(短大も含む)進学のメリットは何?

 高校生のみなさん、1学期もまもなく終わりますが、ここで自分の進路をどうするか、夏休み前に考えてみることは大切なことです。

 また、先のことだと考えている1,2年生のみなさんも、実は1年の3学期から大学受験はスタートしていると言ったら「ちょっと早すぎるだろ」と思いますか。

 その前に、大学に進学するメリットは何かを考えてみます。

 一つは、よく言われるように高卒と大卒の「生涯賃金の差」です。たしか以前の厚労省のデータによると5000万円以上差がありました。まずお金の問題を考えてみても大卒のほうが有利になるのは間違いないでしょう。

 次に、大学で学ぶことによって、知識の基盤となる教養が身につくことが挙げられます。

 たとえば、大学で教養科目の一つとして学ぶ「経済史」「科学史」などを通じて、高校で学んだ以上に専門的に深く学ぶことができます。具体例を挙げれば、近世経済史で取り上げられるドイツ出身の経済学者アンドレ・グンダー・フランクの著書『リオリエントーアジア時代のグローバル・エコノミー』(藤原書店2000)によると、1400年ごろから1800年ごろまでの4世紀にわたり、世界経済の中心は東アジア、特に中国であり、西洋は東洋にぶら下がる周辺部だったと主張しました。これは私たち一般人の感覚からすると、少し意外な感じがするのではないでしょうか。おそらく、ヨーロッパを中心とする西洋が大航海時代を含めて、東洋を支配してきたのではないかと思われる方が多いでしょう。

 それが、近年の世界経済の状況から世界のものづくり工場はアジア、特に東アジアであり、世界経済の中心は西洋から東洋に移行しつつあるのではないかと。しかし、フランクの考え方によれば、世界の中心はもともと西洋ではなく東洋であり、世界史的に見れば東洋は勃興してきたのではなく、元に戻りつつある『再興』なのだということになります。これは実に大きな視点の転換です。これまでは西洋中心の世界観でものを見てきた人間にとっては驚きの見方です。

 このような学びができるのも大学での学びの特長です。人生観や世界観を新たに獲得することもできるでしょう。ある分野の専門家である大学教員の授業を受けることは、その先生のそれまでの研究成果の一端に触れることができる貴重な出会いの場ともなるわけです。単に、就職活動のために学ぶというよりも、自分自身の人間性や資質能力をそれまで以上に上げていくことができる貴重な機会にすることもできるわけです。

 今後の社会を生き抜くためには、これまで以上に創造力や発想力が求められることになります。そうした力を鍛えていくためにも、大学で学ぶことが必要になるわけです。

 以上のような理由から、私は高校生の皆さん、あるいは中学生のみなさんに大学進学を自信をもってお勧めする次第です。

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