総合型選抜で求められるものは

 前回は、これからの大学入試で「総合型選抜」が大きな流れになっていくということをお話ししました。

 今回は、「総合型選抜」で求められるものは何かという点についてお話しします。

 それを考えるうえで、考慮しなければならないことは各大学の3つのポリシーです。

 各大学では、「アドミッションポリシー」、「カリキュラムポリシー」、「ディプロマポリシー」という3つのポリシーに基づいて教育活動を展開しています。

 簡単に述べると、アドミッションポリシーは「うちの大学はこういう学生を求めています、こんなことに力を入れたい学生を求めています」とうものです。順番から言うと、次はカリキュラムポリシーですが、これは近年あちこちで使われている「Backward Design」(逆向き設計)の考え方を援用すると、卒業時点のディプロマポリシーから考えたほうが合理的です。つまり、ディプロマポリシーは、卒業時にうちの学生は「こんな力を身につけて卒業する学生です」「在学中にこんな力を身につけました」という到達目標が示されることになるのです。

 その目標を受けて、そのためにはどのようなカリキュラムを組んで、どんな授業をしていくのかを示したものがカリキュラムポリシーであるということになります。

 以前のAO入試は上記3つのポリシーのうちの、アドミッションポリシーのみを念頭において作られたものでした。したがって、受験対策もある意味では就職活動と同様に、自己分析をして、自分のよいところを中心に売り込み、「私はこんなことができる人間です」ということをPRすればよかったわけです。

 しかし、今度の総合型選抜では、上記3つのポリシーをしっかりと頭に入れて、自分はこの大学で何を学んで、どういう力をつけて、どんな人間になって社会に貢献したいのかというストーリーができていないといけないのです。つまり、大学合格は目標ではなく、あなた自身のキャリアの通過点に過ぎないのだということになります。ここが重要なポイントです。

 これを意識されている高校の先生方はそれほど多くないというのが現状ではないでしょうか。

 つまり、志望理由書の作成や小論文・面接対策という技術的なことだけではなく、その生徒のキャリアデザイン全体を考えなくてはならないということです。

 最近「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の対策を売りにしている塾が増えてきましたが、単に技術論・方法論のみを志向しているところも少なくないように思います。

 総合選抜入試を考えている高校生・保護者のみなさんは、よいコーチを探すことが重要です。通学している高校の先生の中に信頼できる方がいれば、その方についていけばよいと思いますが、不幸にしてそういう先生とめぐり合えていない方はぜひ当塾の専任講師にご相談ください。

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