学ぶとは能動的なもの

 

 ある本を紹介します。

 それは「世界はひとつの教室」サルマン・カーン/ダイアモンド社(1600円+税)です。

 著者のカーン氏はNPO「カーンアカデミー」を立ち上げた人で、今や4000本以上のタイトルのビデオが月に5400万回以上も閲覧されるというオンライン教育サイトを主催しているのです。

 この本には、次のような文章があります。

 「知識を長いあいだ持続させるには、脳をこのように働かせるのが最もよいと思われます。そうであれば、最も効果的な教え方は、教科のなかの各テーマの「流れ」とか関連性、あるいは教科を超えた関連性みたいなものを強調することだと言えそうです。しかし残念ながら、標準的な教室モデルがやっているのは、その正反対です。愚の骨頂は、教科を無理やり分けていることです。私たちは教科の内容を勝手にそぎ落としています。あるいは隔離しています。確率の基礎がわかれば遺伝にも応用がきくというのに、遺伝は生物で教わり、確率は数学で教わります。・・・・・こうした分離は理解の妨げとなり、宇宙の本来の姿を見誤らせます。」(同書p.56-57)

 また、次のようなくだりもあります。

 「私のビデオを利用して授業のしかたを全面的に見直した先生もいます。・・・自分自身は講義をするのをやめ、貴重な授業時間を、通常なら宿題として与えられる「問題解決」にあてました。すると生徒は自宅でビデオを見ることができます。これはふたつの問題を同時に解決しました。すでに見たように、生徒によって学習スピードはちがいます。集中力がつづくのは15分が限界です。能動的学習は受動的学習よりも長持ちする神経経路をつくります。それなのに、教室での受動的学習、すなわちクラス全員が静かに腰かけたままも50分から1時間のあいだに同じペースで情報を吸収しなければならない学習法が、いまだに主流です。その結果、講師がいかにすぐれていようと、ほとんどの生徒がついていけないか、退屈するかのどちらかです。」(同書p.118-119)

 これまでの学校で行われてきた学びに対する反省があります。

 「一人一人の学ぶスピードを無視した一斉授業の理不尽さ」「先生が一人で頑張る授業よりも子どもが頑張る授業への転換の大切さ」

 「学びの本質を無視した教科縦割りの教科主義の非合理性」などなど。

 これらを無視しては、これからの教育は成立しないと思います。この大きな方向性をしっかりとらえていない教育活動は思ったような成果を決して生み出さないでしょう。

 どんなときでも、学習者中心の「学びの原則」(前回ご紹介したもの)を大切にして学び続けることですね。

 

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